作品詳細

遠い旅

遠い旅

上野芳久

遠い旅路に開かねばならぬ道がある

―旅は続く。それは果てがないためである。その時々に充足を轍として残していく他はない。行くべき道は未明のものである。出来れば詩作という様式によって灯火、希望を生きたいという願いがある。そうして、人は旅人のようなものであろうから、自分は自分の道を明らめる他はない。(後書きより)―

<詩僧>上野芳久の旅は続く。その足取りは地のぬくもりを確かめるかのようにゆっくりと、力強く、深い森へと分け入ってゆく。上野の詩作による祈りは地に、天に広がってゆく。果てしない旅に終わりはない。

湧き出た水は千年の歴史を持っている
生まれ出た命は万年の繋がりを持っている
命とはそういうものだ
それが遠い旅をする
透明な時の流れで自然を愛し
再びは戻れぬ旅をする 流水
その定めは択ぶよりも択ばれる
産声が湧き水ならば
人は水の流れとなって育つ
時には渦を巻き 時には早流となって
その宿命の旅を許される
(中略)
祈りはすでに河のように深い
そして海へと混流する夢の旅
人は川のような旅人である
そして海へと漂着する羇旅の歌人である
夢をどこまでも追い続けるのが海である
そうして海は燃える
燃える海に幸いあれと祈りつつ
遠い旅の夢を追う(「流水」より)

詩集
2016/12/15発行
A5変型 並製カバー付

カバー写真:岡島のぞみ

2,808円(税込)