作品詳細

死者たちの歌
在庫無し

死者たちの歌

ピエール・ルヴェルディ / 訳:佐々木洋

ルヴェルディ、人生の暗闇で紡がれた最期の言葉。

この詩集の醍醐味はルヴェルディの作品であることに間違いはない。
しかし、あとがきの凝縮された内容はルヴェルディをして圧巻の深みがある。
多くは語りたくない。
あとがきの最期に引用されている、ココ・シャネルへの思いのすべてを言葉にしているルヴェルディに、私たちは視線の行く先を失ってしまうだろう。



高度の飢餓

直立した血の温度計
氷結した夢想の温度計
白い砂漠の中に忘れられて
立派な装いの鏡の中で重んじられて
下品な欲望たち
擦り減ったすべての鞘
擦り切れた躍動たち
すべての愛
すべての ほどかれた憎悪
あらわな 剝き出しの乳房
そして 深く打ち込まれた頭
前かがみのブロンドの肩たち
地底の遍歴によって荒らされた腹
高齢の昏い意思たち
幽閉された 漠とした恋心の
 重苦しさとともに
結局 これは何のことなのか?
彼女が私に与える 飢えと あらゆる心配の種
(les hauts degrés de la famine)



陰鬱な夜明け


私は生まれた島を見つけ出した
解放された言葉の群島を
密かな身振りの 最も残忍な感覚
恐怖がそこに身を潜める影の中で
思索の 移動するカーテンの陰で
亀裂の下には かろうじて 鋭い計画
縁どられた唇の上には 蜜の指
星ちりばめられた愛の不在がそこに潜む 部屋の隅々で
遅れた空の唸り声
元どおりになった手への 血だらけの帰還の顔
遅れて花開いた 運命の災難
流氷群の角度に粉砕された 船
人は言葉に関して 負けるが勝ちのルールで戦う
そして 光で硬くなった塩の地面の上で
君がかくも多くの涙を売りさばくのを聞くのに うんざりして
焦げた朝の花たち
私の灰の両手の中の 心臓
砂漠の 移動する砂丘たち
(Aube sinistre)

詩集
2021/08/30発行
四六判 並製