作品詳細

洗濯屋さん道元

洗濯屋さん道元

梅原賢一郎

道元『正法眼蔵』を詩集として超訳!

芸術学者の梅原賢一郎が、道元の『正法眼蔵』を詩集として超訳しました。
読解を洗濯の「洗う」と「干す」の要素に例え、「意味に汚れた語句をゴシゴシと洗う言葉」と「汚れの落ちた語句を時空のなかに干す言葉」にの二章に章立てする。


洗濯には二つの要素がある。

一つは、汚れのついた洗濯物をゴシゴシと洗うこと。
一つは、汚れのおちた洗濯物をピシッとのばして大空のもとに干すこと。

道元の言葉を、ちょうどそのような洗濯の要素に対応させるようにして、二つに分けることができる。

一つは、意味に汚れた語句をゴシゴシと洗う言葉。
一つは、意味の汚れの落ちた語句を見いだされた時空のなかに干す言葉。

いまここに、前者を「洗い屋さん・道元」として、後者を「干し屋さん・道元」として、道元の『正法眼蔵』の言葉を訳(超訳)し、一冊の詩集を編む。

(「はじめに」より抜粋)




【月と悟り】

人のさとりをうる、水に月のやどるがごとし。月ぬれず、水やぶれず。(現成公案)

人が悟るのは
照らし合いなんだ
夜空の月と水面の月が照らし合うようにね

ところで
夜空の月が濡れることはないよ
水面の月が破れることはないよ

詩集
2019/03/23発行
四六判 上製 カバー付

2,200円(税込)