作品詳細

もう死ねない朝が来る

もう死ねない朝が来る

黒田夜雨

「世界を殴れ、不機嫌のままに」

言葉の力を知ることの出来る詩集だ。
黒田夜雨の抱えている孤独は誰もが抱える孤独より、さらに深いものかも知れない。
威勢よく出てくる、少々荒れた言葉は気の強さではない。
生きるしかないのだという、切なる叫びである。


貧困とセックス

生産せず 専ら消費するだけの生活は
はたして消費されずに済むのだろうか
民主主義と資本主義社会
否、その真逆だ
おまえはひたすら待っている
故郷で過ごした年月を 東京で過ごした年月が
越えていくのを
同棲は倒れこむように
二人はそれでも孤独死を何より恐れた
もう布団は死の臭い

「スナフキン気取ってるけどただの浮浪者じゃん」

ここはズブズブ
一度ハマったら 余程のことがない限り抜け出せない
底なしの浅いぬかるみ
生ゴミと三角コーナー 側溝とネズミの死骸
私たちの 吹き溜まり

そんな沼地で掻き鳴らされる
男のロックンロールは芋臭く
爆音に慣れた玄人の耳でも
正直 聞くに堪えないという
美大を卒業した友人が
卒業した瞬間一気に老けた
顔面劣化 崩壊しないだけマシ
心を枯らす生活苦 ワーキングプア
君は労働なんてしなくていい ここでずっと
絵を描いていればいい
なんて言えるほど 他人の自己実現に
自分を仮託 できなくて
妬み・嫉み・僻み 君だって
家が金持ちなだけの凡人だ
アルバイトもできない 電気は止まっても水道は止まらない
人間は不平等だ 当たり前だ 今更どうした?

おまえはおまえにしかなれない それをおまえはどう思う

自信がないだけの男女が
モテることによって地獄から少しでも
這い出ることができるなら
それは必要悪だと目をつぶるべきか
人の気持ちを弄ぶこと
傷ついたと言えないくらい傷つけて 傷つけて
生きてきたのよ 死んでしまうのよ
目をつぶされた犬の地縛霊
こっちを見ている

やったことはやり返されるよお
覚悟しとけよお
アタシは手を下さないけどねえ、アハハ

全財産を賭けて博打をやりましょう
一文無しってかっこいいと思います
たとえ異臭を放っていても あっでも
ルサンチマンすら枯れたあなたには
どん底から這い出る力なんて
もう残っていませんでしたね すみません
思い出したかのように財布なんて
出さなくていいんですよ
救いようがなくても
生きていかなければなりませんから

ハイボールはシングル、
トイレットペーパーはダブル、
ベッドはセミダブル

ハイボールはシングル、
トイレットペーパーはダブル、
ベッドはセミダブル

詩集
2018/11/25発行
四六判 並製

1,320円(税込)