作品詳細

クリムトのような抱擁

クリムトのような抱擁

望月苑巳

「いつか来た道」へ戻らないための「抱擁学」?

望月苑巳の詩は時間と空間をトリップする。今に始まったことではない。方丈の底から西行が現れ、光源氏の情事にサルトルの訓示? 
雪曼荼羅の睦月に実朝の手毬唄が小路から流れる? 望月苑巳に言わせればあなたのお向かいさんの佐藤さんと置き換えて読んでください、です。
いくつもの詩集をもつ望月苑巳であるが、この詩集の表現ののびやかさは特筆すべきものが有る。


囲炉裏で色づきはじめた男と女
いけません
そんな引力を使っては
いけません
女の芯をはずしてしまったら
夕顔の肌はとろけて
元のホダ火には戻せないのです

トマトをかいりながら
アクション映画を見て勃起する
不謹慎なテロリストのように
実存主義を体得するには
そう時間はかかりませんが
あなたは裂かれたのですか
それとも囚われたのですか

いけません
みだらな行為は
囲炉裏の熱で雪の肌まで溶かしてしまうのです
十二単は
「囲炉裏の引力より抜粋」

詩集
2018/10/25発行
四六判 上製カバー付

2,700円(税込)