作品詳細

半濁音に咲く花を

半濁音に咲く花を

ケイトウ夏子

行きつ戻りつする季節――
痕跡の記憶に花びらを降らすように

揺籃期



踏切を待つ間に夜を洗う風が吹く
通り過ぎる電車に浮かぶ
方々へ別れる予定の人々は
灯台の顔をして揺れている

遮断機があがると道が生まれた
真っ直ぐに進むことをこばむ足は
敷き詰められた小石に触れる
それは 未完の寄り道
いつか水底で
ねむっていた時間に繋ぐ
渡れる川を横断する

遠景にころがる果実に映された、いくつもの呼びかけ

皮を剥くように
拡がるとばり
手招きする一歩手前で止めて
転写される系譜を追う
見ない人の分まで空をみている

詩集
2025/12/15発行
四六判 並製 カバー付

2,090円(税込)