作品詳細

ハルシネーション

ハルシネーション

草間小鳥子

草間小鳥子は誰よりも世界に向き合っている。それがたとえ事後の幻影的現実(ハルシネーション)であろうと、その詩的変容を夢見てやまないのだ。
――野村喜和夫

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生成AIが普及し、ディープフェイクなどが日常に侵入してきたことで、虚構が現実のように現実が虚構のように現れる世界を見つめようとする41篇。


※ハルシネーション(hallucination)
・幻覚、幻影。
・AI(人工知能)が誤った情報を生成する現象のこと。




みちゆき


ほんとうに暗いときにしか
光らない雪が
道行きを仄青く照らしている
光るのはうつくしいからではない
踏み越えられなかった弱さやずるさ
すべての塵が
ほかの光を
さめざめと照り返すから
敷き詰められた雪のうえに
固く目を閉じ汚れた昨日が
道標のように発光している


詩集
2024/10/25発行
四六判 並製

ブックデザイン:川島康太郎+川島雄太郎

1,980円(税込)