作品詳細

グロッキー

グロッキー

藤井晴美

わかったか!

時代を超越したアンダーグラウンドの王者、藤井晴美。
貫禄を見せつける圧倒的な詩篇。

 畳君!
 黄色くなったぼくの二十年前のおちょぼ口の記憶よ、さばさばした世間話があった。河原の土手に。商店街の広告とどぎついしみったれた開店祝いの造花の花々、宝船。贋の町。炎天下のかき氷、脇の下の臭いのする暗い湿った店の中。ビー玉の暖簾は不動で不服、じゃらじゃらと濁った眼を陽に向けてへらへらしているグロッキーな光景、砂ぼこりの。下駄の音が響く。結晶した全宇宙を食っているおれのコソ泥の肋骨とギョロギョロ目玉の人生は出来合いのでたらめ話よ! 口よ、盲目の口よ、ああぼくの稲妻。縦と横にエレベーターの鎖が切れる大脳皮質のぼくの正義は死刑だ! 意識へ向かって凍える雲よ! 家々を溶かしてしまえ。皮膚は核である。横町を曲がると高架鉄道のがなりとドブの胸がずるりむけている。道路は痛いよ! おれは今、逆発狂している。――(「蠅」)

詩集
2016/07/20発行
四六判 並製

864円(税込)