作品詳細
インカレポエトリ叢書 13
阿坂家は星のにおい
骨は/石鹸で洗ったかのように真っ白で/眩しかった
詩をよんでいると
詩をよんでいると
どんどん親指がかわく
親指から どんどんかわきがひろがって
たまらず水を飲む
水を飲んで 飲んで 飲んで 詩をよむ
それでも最後には カラカラになっている
詩をよんでいると
なぜか飼っているうさぎが寄ってくる
そして詩集にかぶりつく
思わず声を上げる
やめてよ あなたには長生きしてほしいんだから
それでも詩集はどんなおやつよりも食いつきがよくて
おかげでわたしが持っている詩集のほとんどは
うさぎの歯形がついている
詩を読んでいると目の前がぐらつく
さまざまなひろい草原が
ただでさえ隙間のない頭に入り込んできて
行くべき草原がわからなくなる
そのうちくらい穴にはまってしまって
わたしはさらに詩をあさる
あさって あさって あさって
やはりさらにわからなくなる
詩をよんでいると 笑われる
かくの? 詩を? ポエムを?
わたしは黙ってその人の目を見つめていう
かきます
すると
開き直るなポエム野郎っていわれる
あなたはいま
言葉を並べたよね
それはもうすでに詩だよ
あなたは息をするのと同じくらい
このポエム野郎と同じくらい詩を発しているんだよ
詩集
2022/03/25発行
四六判
並製 小口折
990円(税込)