帰らなかった その人が 帰るという
南椌椌 「ソノヒトカヘラズ」
詩集, 2024/11/05発行, 173x210mm 仮フランス装 帯付, 2,970円
Publishing and Printing
望月遊馬詩文集 『白くぬれた庭に充てる手紙』 が第62回藤村記念歴程賞を受賞しました。
望月遊馬 「白くぬれた庭に充てる手紙」
第62回藤村記念歴程賞受賞
詩集, 2024/07/31発行, A5判変形 並製 帯付, 2,200円(税込)
インカレポエトリ叢書の栁川碧斗詩集 『ひかりのような』 が第56回横浜詩人会賞を受賞
しました。
栁川碧斗 「ひかりのような」
第56回横浜詩人会賞受賞
詩集, 2023/07/20発行, 四六判 並製 小口折, 990円(税込)
草間小鳥子 『源流のある町』 と 暁方ミセイ 『青草と光線』 が第31回萩原朔太郎賞最終候補作に入選しました。
草間小鳥子 「源流のある町」
第31回萩原朔太郎賞最終候補
詩集, 2022/10/08発行, 四六判 小口折 帯付, 1,870円(税込)
暁方ミセイ 「青草と光線」
第31回萩原朔太郎賞最終候補
詩集, 2023/03/25発行, A5判変形(140x210) 並製, 1,650円(税込)
細島裕次詩集 『蓮根譚』 が栃木県現代詩人会新人賞を受賞しました。
細島裕次 「蓮根譚」
栃木県現代詩人会新人賞受賞
詩集, 2023/06/25発行, 四六判 並製 カバー 帯付, 1,980円(税込)
インカレポエトリ叢書の國松絵梨詩集 『たましいの移動』 が第27回中原中也賞を受賞
しました。
國松絵梨 「たましいの移動」
第27回中原中也賞受賞
詩集, 2021/08/10発行, 四六判 並製 小口折, 990円(税込)
2020年10月10日発行の図書新聞に、湊禎佳詩集『古今琉球風物歌集』が掲載されました。
沖縄の「今」と「古」を豊かに象徴する歌
この歌集の魅力のひとつは、題材においても時代設定においても、また短歌と琉歌を行き来するという詩型においても、その多様性にあるといえる
沖縄をどう歌うかは、現代短歌における一つの重要な課題である。沖縄戦や米軍基地はそこに住む人たちだけに限定された問題ではなく、この国で暮らす私達の暮らしと切り離して考えることができないものだからである。短歌総合誌でもたびたび特集が組まれ、沖縄をテーマとしたシンポジウムなどもここ数年たびたび開催されるようになった。また一方で、琉球王国としての歴史や文化、手つかずの豊かな自然など、沖縄には他に歌うべき素材もたくさんあるように思う。本集のタイトルには「琉球」という言葉が使われているが、沖縄の現在に取材した作品も多い。タイトルにみえる通り、「琉球」に関わるさまざまな事象が、時代を越えて自由自在に歌われている。この歌集の魅力のひとつは、題材においても時代設定においても、また短歌と琉歌を行き来するという詩型においても、その多様性にあるといえるだろう。
・突き抜ける天の底方(そこゐ)に落ちるがにわがまなざしは紺藍の向かふに
・仰ぎ見る星夜瞬失 中天に火炎ひらめき戦夜あかるむ
冒頭、太陽や海、星など雄大な光景が歌われている。一首目は、自らの視線を遠くに投げやるイメージだが、「突き抜ける天の底方(そこゐ)」という表現が、見ることを深々とした行為として輝かせている。一冊を通して著者が琉球の自然や歴史を見つめようとする姿勢が、この歌にあらわれているように感じた。二首目、眺めていた星空が一瞬のうちに消え、戦の炎を幻視している。一九五三年那覇市生まれの著者に直接の戦争体験はないが、著者の父は招集されて北海道から沖縄へ移り、沖縄戦を生きぬいて故郷へ帰ることなく一生を終えた。激しい地上戦で県民の四人に一人が亡くなったといわれる沖縄だが、星空を見ても不意に戦火が思われるような感覚は、父親の来歴に由来するのかもしれない。
・モクマオウの林に散らばる骨と肉 敵味方なき戦野のけしきに
・朝まだき慶良間の海の波が哭く 島門切り裂く艦隊(ふね)に悶えつつ
・またしても泥酔米兵島人(しまんちゅ)をアメ車でひしぐ横断歩道の
モクマオウは熱帯の砂浜にみられる常緑高木。その樹下に存在したであろう、敵も味方もわからない、弔われることもない死者たち。著者自身が現実に見たわけではない光景をありありと引きよせているのは「モクマオウ」という生命力のある樹木の存在感である。二首目は、米軍が沖縄本島に先立って慶良間諸島に上陸する様子が詠まれている。「島門切り裂く艦隊(ふね)に悶えつつ」という肉体的な痛みを感じさせる表現に注目した。「島人(しまんちゅ)」という土地の言葉、「アメ車」という俗語、「ひしぐ」という古語が同時に使われている三首目。この三つの言葉の多様性が、まさに沖縄の今をあらわしているようだ。「横断歩道の」というだめ押しのような結句に、理不尽な事件への怒りともあきらめともつかない感情がにじむ。
・のっそりと猫ら見上ぐる大空に群れ飛ぶ幽鬼(ファントム) 耳をつんざく
・天空をそれは大きな影がゆく 核搭載の黒い怪鳥(けてぅ)の
「ファントム」本来の意味を想起させる漢字表記の戦闘機、その爆音に空を見上げるのは、ここでは人間ではなく猫である。そして核弾頭を搭載できる大きな爆撃機は、「黒い怪鳥(けてぅ)」として不気味に羽を広げている。ひとりひとりの個人的な体験から自由なところに立ち、ひたすら戦闘機や爆撃機の本質に迫ろうとする歌である。猫たちにとって、急に大空にあらわれたものは異物でしかなく、爆撃機が本当に核を搭載しているのかどうか、私達人間にも感知できない。上空に大きな影の不気味さを感じつつ、私達は生きるほかないのだ。
・しとしとと樹雨(きさめ)したたる林間にクヒナぽつんと濡れそぼる見ゆ
・水筒に残りし水で溶く味噌のひと欠けぽっつり 戦野の馳走に
特に心ひかれた二首である。誰にも見られることなく、雨に静かに濡れている鳥の息づかいと孤独。そして、沖縄で「敗残兵」として生きのびた父のリアル。独特の静けさとはりつめた空気を感じた。これもまた、沖縄の「今」と「古」を豊かに象徴する歌である。
――大口玲子(歌人)
湊禎佳 「古今琉球風物歌集」
歌集, 2020/07/01発行, A5判 並製, 1,650円(税込)
タワーレコードのフリーペーパー『intoxicate』 2020年6月号に、小沼純一詩集『sotto』が掲載されました。
小沼純一 「sotto」
詩集, 2020/04/15発行, A6判変形 100X110 並製, 1,100円(税込)
2020年3月7日発行の図書新聞に、栗原洋一詩集『吉田』が掲載されました。
第一詩集の題名『吉田』が語る通り、栗原洋一の詩の舞台はつねに、愛媛県松山市近くの南吉田町とその周辺である。首都圏に住む人たちが現実にそこに行こうとしたら、東京から岡山まで三時間、岡山から松山までは三時間、そこからさらに松山空港へ向かうと、この空港の所在地が南吉田町。新幹線によって中心化された均質空間を離脱してゆく毛細血管をその先端までたどったところ。そこがそのまま、航空機の上昇・下降地点になっている。これが現在の地政的な空間のなかでの、吉田の位置である。
詩集『吉田』の主題の一つは「病んでいる母」だ。母の存在がこの詩集の中心をこの地理的な固有地点に、ピンのように固定しているのが感じられる。その母のものと思われる言葉「(アノヒトタチハ モウトックニ/夜ノ方ヘ帰ッテイッテシマイマシタ)」(「奥島」)――ここで時間がその流れの方向を変えている。人々の関係の世界の地理がこの地点に向かって引き寄せられ、漏斗状にタテ方向へ引き込まれてゆく。時間はそこで降り積もり、堆積し、濃度へと進む別の時間に変わっている。(中略)
歴史記述でも物語記述でもない仕方で、固有空間に集合する人名と地名の劇を可能にしているのは、自動筆記に近く、固有名を列挙し、語りの時間をそのまわりに渦巻くように引き寄せ配置する、一九七〇年代以降の日本戦後詩の話法だ。
――瀬尾育生
栗原洋一「吉田」
詩集, 2019/11/01発行, A5判 並製, 1,540円(税込)
本の雑誌2019年6月号「新刊めくったガイド」コーナーで、古溝真一郎詩集『きらきらいし』が紹介されました。
「子との生活、労働、生きるためのさまざまな営み。日常とひとくくりにされ、見過ごされるはずの時間がたまたま言葉になった、というような心地よい軽みがあり、どの一連にも自分や自分を知る誰かのことが書かれている気がした。
言葉は物事に名前をつけ型にはめることも容易にできるし、ひろいあげて丁寧に分解することもできる。小説や詩に触れることは、言葉にすることのあやうさと愉楽を、いつもひとしく思いおこさせる。」
――大塚真祐子
古溝真一郎「きらきらいし」
詩集, 2019/01/22発行, A5判変形 並製 小口折, 1,650円(税込)
西日本新聞 「カリスマ書店員の激オシ本」で『歩きながらはじまること』が紹介されました。
300ページを超える分量の詩は、急ぎ足で読み進めることを拒むかのように、ゆっくりとした時間軸の線上に読者を連れてゆく。そして、それまで文字の上を早歩きするような読書をしていたことに気づかされる。(中略) 彼の詩を読んでいると、人、動物、植物と分けることで見失ってしまいがちな生命それ自体を思う。人の都合で分け隔てているのかもしれない様々な命との境界線がぼんやりとしてくる。弱者、強者、病む人、健全(らしい)人、などという隔てにしてもだ。ただ生命として眺めたい。この詩集は生命賛歌だと思った。
――城下康明(ひとやすみ書店)
平明で穏やかな文体で、奈良の自然や日々の発見、思い出についてなどが、気負いなく綴られる。 日常の言葉遣いの延長線上にあるようでいて、必然的に置かれた一語一語は風通しのよい朗らかな詩心にあふれている。詩人は、見つめる対象に深入りせず、けれど、交感の温もりがわからなくなるほどには相手から離れない。心地よい距離の間を風が通り抜け、風の導きによって、読み手の五感の領域は伸びやかに広がってゆく。
──峯澤典子(現代詩手帖 2018年6月号「詩書月評」)
上膳水如という銘柄の日本酒があるけれども、あまりにも善いものは、まるで味がしないかのように感じてしまう。安曇野のわさび農場の水路を音もなく流れる大量の水。心の重力の内側にぐっとテンションをかけて極度の集中をすると、ふっと《静か》が気持ちの底に翳を落とす。(中略)やわらかいようでいて芯が強い。チクセントミハイはかつてそれを《フロー状態》と名づけたようだが、そんな稀有な心のありかたを描いためずらしい詩集として、西尾勝彦さんの『歩きながらはじまること』を読んでいる。 「ゆるやかに/自転車を/漕ぐ/いつもの/町を巡り/家に帰ってくる/そして/古い詩を読んで/眠る」(「休日」全篇)。この「古い詩を読んで」という結びに、なぜかドイツあたりの田舎の、川辺の村の陽だまりの午後を思いだした。何ともよいではないか。座右に置いて、繰り返し、読みついでいきたい詩集である。
──田中庸介(図書新聞 2018/6/9)
西尾勝彦「歩きながらはじまること」
詩集, 2018/03/07発行, 四六判変形 並製, 2,200円(税込)
▼ 新刊からお勧めの一冊をご紹介
▼ 長く愛読されている一冊
2024年8月26日分の東奥日報と、2024年8月27日分の静岡新聞での詩の月評「詩はいま」にて杉本真維子さんによる梁川梨里『蝶番』の書評が掲載されました。
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2024年10月6日に刊行された詩誌「妃」第26号にて水嶋きょうこさんによる梁川梨里『蝶番』の書評が掲載されました。
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2024年9月16日の公明新聞にて野村喜和夫さんによる望月遊馬『白くぬれた庭に充てる手紙』の書評が掲載されました。
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2024年9月6日(金)の東京新聞夕刊にて岡本啓さんによる望月遊馬『白くぬれた庭に充てる手紙』の書評が掲載されました。
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2024年5月8日の西日本新聞にて『小山俊一全通信』の書評が掲載されました。
2024.11.09 |
新刊 ソノヒトカヘラズ |
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新刊 旅の心を取り戻す 新刊 透明ディライト |
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新刊 公園のまんなかにはおおきな木があって |
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新刊 白くぬれた庭に充てる手紙 新刊 緋のうつわ |
2024.07.07 |
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新刊 二〇の物と五つの場の言葉 |
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