近刊・新刊
近刊・新刊一覧
七月堂の新しい本をご紹介。
聖者の影を踏まずに歩くために
随想2006,1~2009,5
日々の生活を淡々と、かつ克明に記録する詩人の日記。
本書はその三冊目になるが、著者は完成を待たずに帰らぬ人となってしまった。
日記の意図は、誰にも判らぬままとなった。
おすすめ!
七月堂叢書 1
叢書版 ピエール・ルヴェルディ詩集
イマージュの限りなく自由で伸びやかな飛翔感、白昼夢のような影の領域での迷宮眩暈。ルヴェルディ以外作りえなかった独自の世界。日本初個人訳詩集。初版は好評完売につき、叢書版にて再発売。
おすすめのワケ
シュルレアリスト達が最も偉大な詩人と褒め称えるルヴェルディ。ブルトン、ピカソ、シャネル、アポリネールらと親交のあったまさしくパリ黄金時代の詩人です。彼は「互いに隔たったもの同士を接近させること」で詩的なエネルギーを生み出す手法を提唱しました。以降のシュルレアリスト達は自動記述で詩的な創造を目指しましたが、ルヴェルディはあくまでも自身を制御し、意外性がありつつも本能的に関連を感じさせる言葉を創り出したのです(「舗道の上で鈴が夜を鳴らす」「空が額に皺を寄せる」etc)。本著は日本で数少ないルヴェルディ詩集です。ルヴェルディの詩の美しさと魅力を是非感じて下さい。
おすすめ!
吉田 新版
栗原洋一の宇宙へようこそ
おすすめのワケ
『吉田』。1990年7月に刊行され、2009年1月に再刊され、2019年11月に新たな版で再再刊されたこの詩集は、七月堂の詩集の中でも存在としての「孤独」が静かに迫ってくる数少ない詩集の一つだ。
タイトルになっている「吉田」は地名である。この詩集には多くの地名が出てくる。その地を歩む栗原洋一の意識は歴史の流れに翻弄されるが「孤独」という存在であることで冷静な対峙がなされてゆく。
言葉は他者にあって発せられ、今を生きることが出来る。詩集はその余韻であるはずだ。
「・・・米料理がはこばれてきた。/米のとぎ汁を、ひとはだに温めたスープ。/飲むのは、わたしだ。/祝福せよ、/私は誕生したのだ。/砂の地形が崩れた。・・・」(「吉田」より)
稲川方人をして「この詩人と命懸けの詩誌を作ってみたい」と言わしめた詩集である。