作品詳細
吉田 新版
祝福せよ、わたしは誕生したのだ。
~待望の再刊~
詩集『吉田』を思い出すときには私は必ず八〇年代以降の「詩」のことを考えている。反復されたその思考の中で、私は、栗原洋一本人に会うまで、大胆な錯誤に気付こうとしなかった。八〇年代以降のこの国の「詩」自体が錯誤なのだと言うつもりは毛頭ないが、私にとっては『吉田』は、七〇年代の詩的世代を切断した最初の具体であって、水流がそこに引き戻るかのような、動こうとはしない堰のような場所だから、これを読んだのは八〇年代初期だと疑わなかったのである。
(栞・『吉田』に寄せて 稲川方人)
詩集
2009/01発行