作品詳細
アンフォルム群
いきなり夢の過剰投与
独自の美意識が炸裂する、詩で描く絵画。素早く強烈なタッチだけでなく、この詩人の持つ莫大な知識と、それを繊細に織り成す能力に圧倒される。
超高層ビルの自動エレヴェーターのように
プロレスラーの寸足らずの耳から決壊する――すなわち脳天をキーンと南方発祥の
《白熊》アイスの純白のもろ強烈な食感とは異なり
どの動物園でも白熊たちは天下りの
万年雪のようにうす汚れて黄ばんだ毛並み、
もう《新雪》の純白は色彩として
脳内の氷雪上にしか見当たらない。
水族館の目玉のイルカショーの俊敏なドルフィンキックよりも
はるかに華麗で根腐れとは無縁の神経網のダンスを
くらげはゆうやく垂直に披露してやまない、釉薬のように
くらげの透明な暴力性は徹底的に神経のそれぞれの尖端にまで刺創にまで到達している、
あるいはロラン・バルトの指先確認でエルテ誌上の火文字の数々を参照せよ、
同時代のダンスは蛇ダンスでも相次いで文字の踵の発火するのと同時に
毛髪エクラの傘のもとタイポロジックなダンスを
(「[超高層ビルの自動エレヴェーターのように……]second version」より)
詩集
2017/09/30発行
A5判
小口折
表紙画:たなかあきみつ
2,530円(税込)