作品詳細
東京湾岸 歌日記
~風船乗りの汗汗歌日記
日記×短歌×古本×異界
日記と銘打つ以上、まあまあ事実といっていいエピソードが多いわけであるが、簡単に信用してはならない。(後書きより)
2005年の創刊より現在も発行されている、エッセイを中心とした同人誌『モーアシビ』で連載された、『風船乗りの汗汗歌日記』を編集した一冊。
「×月×日」に表される日記の在り処は自由軸上。
曜日にいたっては実在するもしないも織り交ざった鳥の名前。
大橋弘の描き出す、日常と異界の合間でたゆたう幻想世界をご堪能あれ。
×月×日(ヒガラ)
毎年恒例、神保町の古本祭りに参戦。八重洲地下街で飯を食い、中央線経由でお茶の水から会場に乗り込む。すずらん通りは新刊本のディスカウントが主体。猛烈な人出。ちっとは覗いてみるが、案外こういう本に触手は伸びない。靖国通りに出るが混雑ぶりに拍車が掛って本すら見られず。仕方なく信山堂の裏、というかみずほ銀行の裏にあたるのか、とにかくあの辺りでまず小林信彦・文、荒木経義・写真『私説東京繁盛記』を、靖国通りに戻ってけやき書房で中里恒子『土筆野』と加藤克巳『青の六月』を。さらに「コミガレ」に入って二週間ほど前に買いそびれた尾崎雅嘉『百人一首一夕話(上)』を入手。一応三省堂にも入って新刊を物色するが琴線に触れるものなし。夜、藤岡忠美『紀貫之』を読了。すぐさま大学の同窓、守屋淳氏の『論語に帰ろう』をスタート。学究肌一辺倒ではなく、適度に砕けた感じもあって、脱帽。
東京都渋谷区笹塚三丁目、味噌こんにゃくは元気だろうか(本文より抜粋)
幻想随筆
2018/06/01発行
B6版変形
並製 カバー付