作品詳細
おすすめ!
田中恭吉
生命の詩画
私は日本人の手に成つたあらゆる芸術の中で、氏の芸術ほど真に生命的な、恐ろしい真実性にふれたものを、他に決して見たことはない。-萩原朔太郎
おすすめのワケ
不断の〈生〉の焦燥が敏感に言葉を触知して、その瞬間のひらめきを捉えている。短歌(一行詩)という呼吸がそれに重なり、恭吉の内部を襲った声を新鮮に言葉にたくし込めている。―中略― ひらめきとはひとつの新鮮な自己の発見である。そしてそれを言葉に定着化させることが詩歌のいのちであるならば、言葉は何よりも、自らを刺して来るひらめきを瞬間的に捉えることが、色褪せぬ言葉のいのちとなりうるものだ。(恭吉の詩歌について 本著より抜粋)
病によって23年という短い生涯を閉じた夭折の天才、田中恭吉。著者・上野芳久氏の詩人としての経験と直感が冴え渡る評論。おすすめです。
萩原朔太郎の魂を震えさせた画家・詩人でもある田中恭吉。竹久夢二との交流や恭吉の名を有名にした朔太郎の『月に吠える』の挿絵についてなど、彼の人生と作品を辿る。
文芸評論
2011/01/31発行
A5
並製 カバー付き