作品詳細
積乱雲
言葉の重さ
跋文に触れられている「言葉の重さ」。
生きれば生きるほどに、洗練され、魅力を蓄積していく人生。
その背後にある経験や思い出をたたえる、静かでエネルギーに満ちた「重い言葉」がここにある。
身をよぢりみづがねいろに光る魚川なかにゐてをりをりひかる
ひそやかに跳ぶ着地する爪を研ぐ猫ひそむ闇ゆれうごくなり
蝋燭の炎のくびのやはらかさ消えなむとしてまた燃えたちぬ
くれなゐの秋を逝かしめしなやかにしなふ動詞に逢はむとおもふ
靉(たなび)きて過ぎゆきしものをいまいちど積乱雲を産まむとすなり
歌集
2015/12/10発行
A5
上製