作品詳細
おすすめ!
石斧の恋
深大寺短編恋愛小説『深大寺恋物語』公募第一回受賞作品「石斧の恋」
第三回受賞作品「山椿」ほか二十五の短編を収録。
おすすめのワケ
七月堂では数少ない小説です。大正生まれの吉田信さん、76才から文章を書き始めたとか。勿論プロの作家ではないし、作品も幼い日を綴った私小説風のものから、最近の出来事なのかな?という随筆風のものと入り乱れています。しかし書く事をのびのびと楽しんでいる雰囲気がとても伝わってきて、爽やかな感動があります。何より、「市井の人」の生涯が水々しく詰まっていて、こういう本こそ後世に残るべきだと感じます。『深大寺恋物語』を受賞した短編「石斧の恋」は胸キュンの名作です。
吉田さんの文章を、わたしは「お信節」と呼んでいる。無手勝流の文章のなかに、折目正しい節目がちゃんと通っていて、どの文章にも「お信さん」の声紋がしっかりと刻印されているからだ。―青木健(オビより抜粋)・・・大正、昭和、そして平成を生きる「お信さん」。幼少期の幻のような思い出、少女時代、恋、結婚、そして現在に至るまでを、「お信さん」の書くことへの活力はとどまることがありません。戦時中の恋人達の一瞬を描いた「石斧の恋」はキュンとさせられる傑作です。「お信さん」は76歳から書き始めました。現在88歳健在です。
小説
2010/10/22発行
A5判
並製 カバー付き(糸かがり)