作品詳細
世界は何処に浮かぶ雲だと言うのだろうかこの心はと言うのだろうかそんな言葉が人間であるならば私は雲
君は美しいと、叫ぶまでもないことに、私は引き裂かれているよ
詩とは何なのか、詩人とは何なのか。書くという行為によって救われ、迷い、絶望し、それでも何かを伝えようと書く。この本はその苦悩を当事者のように体験させ、読むたびに人間とは、生きるとは、という根源的な問いを強く投げかけてくる。書けども書けども溢れ出す言葉の渦に読む者を引きずり込む力、これはまさしく正真正銘の「詩人」が作り上げた「詩集」だ。
何も全てじゃないんだけれど/やさしさは重く/そんな過去があったことがつらかったんだ/クルエナイ/遠近法の、その先で/ここは何もきこえない/どころの騒ぎじゃない/そんな死が生きている/生命を抜き去るように/どこもかしこもただの実験室で/何もかもがただの実験材料でしかなかったんだ/と/全てを終わらせる言葉の終わりを探しすぎてはいけないよ/と/そう言えば一応/忠告のつもりだったんだが/別に何も/言うこともなかったんだが/今一つの関係ない流星が流れていく/そんな風に命は終わるんだな/こんな風な/言葉になりながら/言葉ですらなくなるように/嘘みたいだが本当に/嘘みたいだが/本当に 「止まらない死が生きている星」
詩集
2014/03/31発行
B5
並製