作品詳細
量子車両
言葉を理解する私達の方程式はこの詩集には通用しない
藤井晴美の言葉は日常生活の時間のように何気なく通り過ぎてはくれない。
言葉を読み解く、聞き解く「方程式」が有るとすれば、それは社会の中で教育され、生活の中で訓練されることで会得する。
藤井晴美が綴る言葉は時として猥褻で暴力的に飛んでくる。
飛んでくる言葉は私の「方程式」をことごとく破壊する。
言葉が渦巻く列車に乗せられたあなたはこの試練に耐えられるだろうか!?
藤井晴美の詩集は七月堂の店舗とホームページでしか手に入れることは出来ない。
よくアパートのドアのところにいる黒い猫の話
「たか子ね、あれ実は私の妹なんだよ」
「まさか、じゃ、あの小説は実話だと……」
富士額の異様な赤ら顔の男、「ぼくはサルですよ」と自嘲気味に言ってアッハハハッと大声で笑う。それは自然な笑いではない。彼の詩の言葉のようにどこかぎくしゃくして顎がズレている。
結局そういう現場は人々を醜悪にさせる。
詩集
2018/12/31発行
B6判
並製