作品詳細

おじゃんこら

おじゃんこら

あおやまかつこ

子供も大人もほっこりです。

この詩集は詩誌『こだま』に掲載されたものと新作を加えたものです。
「おじゃんこら」は福島県の方言で「おすわり」という意味です。
現在は使われていませんがこの言葉の響きは意味を知っていると身が引き締まります。



しごと


葉っぱをみがくのは
ひかりのしごと
雲をはくのは
かぜのしごと
たいこをならすのは
カミナリサマのしごと

お米をつくるのは
お百姓さんのしごと
泣いてねむるのは
赤ちゃんのしごと
げんかんでほえるのは
犬のしごと

みんながしごとをやすんだら
地球はなまけてねちゃうので
それをおこすのは
神さまのしごと


やさい畑


「アッ 死んでる」
「ほんとだ 死んでる」

ぎょっとしてふりむくと
小学生の男の子がふたり 
スーパーマーケットの入り口に描かれている
大きな絵を見上げている

トマト オクラ ほうれん草…
描かれたやさいたちは
陽にさらされて
どれも色あせている

農家そだちのわたしは
生きているやさいたちを
見せてあげたいなって思う

太陽をあびてぴかぴか光る
まっ赤なトマト
空にむかって
ツンとのびるオクラ
くろぐろとした土に
みどりの葉を広げるほうれん草

野菜はどれも
陽のにおい

ジャガイモやキュウリの葉っぱには
水玉もようのテントウムシだっているんだよ!

詩集
2023/12/02発行
A5判 上製

表紙絵:内田懋/カット:清水郁菜

1,500円(税込)