作品詳細
インカレポエトリ叢書 28
乳既
ペニスタワーにひとひらのかげ
間伐
※かつて森にて
メトロノーム、ひとさじ
言葉は現実を変革するためのもので
しかない、という臆見、がのさばる
現実
を確変するためのものでしかないっ
たらない言葉が、
昼と夜を空費させる
開かれを秘匿させる
孤独、にして
ことごとく
祖国、にして
そっこくに
散歩と呼ぶには生温い
当社比の森林浴で川のセレナーデを
無視しよう
自由意志死すとも尿意は 死せず
しがない、という臆見、がのさばる
歯間ブラシを
いとも丁寧に磨く
これからの これまでの
街の突撃
星のくすめき
犬の断食……。
擲ってもしゃぶりつけない骨々があるだけであろうと
なかろうと
孤独、にして
ことごとく
露骨、にして
おそまつに
幼時、ほくろをけんめいに剝がそうとした
偶然性は必然性を
必然性は
剥がそうとした
人口のまばらな集落で
私はひとり、三千人になる
カーキ色の教科書は口唇時代から始まったきり
冀う
孤独、にして
ことごとく
旦那、にして
たんねんに
メトロノーム、ひとさじ
矯正施設でつくられた
いろとりどりのクッキー缶
木々はさっぱり間伐された ひとり
でに
なかったことは
なかったことにさえならない
渡る世間は鬼ですか
らに
孤独、にして
ことごとく
いい加減、にして
「砲弾!」「」「砲弾!」
メトロノーム、ひとさじ
木々はさっぱり間伐された
ひとりで
に
なかった
こと
は
な
かっ
たこと
に
(冴え)
ならない
メトロノーム、ひとさじ
孤独、にして
ことごとく
いい湯加減、にして
「あほんだら!」
「」「あほんだら!」
詩集
2024/08/31発行
四六判
並製 小口折り
表紙デザイン:岡村陽平