作品詳細
眠れない星 the sleepless planet
世界の俳句と多様性
協会創設当時、俳句形式がこれほど世界へと広まってゆこうとは誰一人として想像さえしなかったに違いない。明治時代に俳句が初めて海外に伝えられてから、海外の各国の言語においてもなおこの形式が優れた詩形であることが認識され、それぞれの言葉で広く綴られるようになったのは主に戦後のことであった。そう考えると、我が国の現代俳句協会の70年の歴史とほぼ重なる歳月、地球の各地で俳句形式追及の試行錯誤が続けられてきたと言えるのである。日本と海外それぞれにおいて、俳句の伝統を尊重しつつも、そこに現代の詩としての存在意義を見出そうという作句努力が続けられてきた。その到達点のひとつがここに凝縮されている。――木村聡雄(序文より)
馬場佳世(日本)
手にとまる螢の軽さ何祈らむ
A weightless firefly
stopped on my hand—
what should I pray for?
David Cobb (U.K.)
地震揺れ
役場の庭師
鍬を引く
earthquake tremor
the municipal gardener
draws back his hoe
Sergiy Kurbatov (Ukraine)
黄昏は
見たこともない
詩をつかめ
под вечер
незнакомые стихи
ловлю на слове
句集
2018/05/20発行
四六判
並製
発売元:七月堂