作品詳細
無効なコーピング
「私は文学を無効にしたいのだ」
以下作品タイトルです。
BAR GOPPION
U看護師長が見た夢
ナイロンパンツ
ベッドの下の割り注
遺影
液体化する舌
午前三時のあとがき
私は文学を無効にしたいのだ
女鹿
消えそうな足を出す
食い破る詩篇
食後の辻褄合わせの爪楊枝
真犯人
図面の縁に這い出た
生前
調布の奥地
盗まれた私
波長
反対側から来た男
魔法瓶に閉じこめられた嘆きの声
無効なコーピング
霧の家
通夜はとっくに終わって
食後の辻褄合わせの爪楊枝
いいものを見せてあげるとその女が言うので、ついていくと、それは職場の宴会か何かの写真で、座敷で他の職員と私が写っていた。これは初めて見たものだが、別にどうと言うこともない。そうやって女は私を誘ったのだ。女はこれから出勤だと言って、アパートの部屋から出て行った。すると、その部屋の向こうは何かの工事が始まっているらしく、気が付くと、部屋の戸が開きっぱなしになっていて、工事関係者が私に、これから爆破が一日二回の割合であるから注意するようにと告げにくる。関係者が今からそれが始まると繰り返し言っているうちに、ものすごい爆音がして、衝撃波が走った。私は部屋の壁際にうずくまり、難を避けたが、戸の真向いの窓ガラスはヒビが入って割れていた。部屋の戸の外に立っていた作業員は、それが仕事なのかまともに衝撃を食らって体が揺れているのがわかった。私は、あれは体の外側は何ともないが多分内臓がやられているはずだ、よくあんなことができるものだと思った。もう一度工事関係者に聞くと、爆破は一日一回だと言って去って行った。そりゃそうだろうと私は思う。こんなことは、大家は何も言っていなかった。ここは、密会の場所ではなく、妻と暮らしているアパートの部屋のようだ。このことを妻にどう表現して伝えようかと私は考えている。
詩集
2019/02/28発行
B6判
並製
表紙写真:著者