作品詳細
弥勒下生
言葉を剥せ 私はそれである
「解説」は、もとより無益であり不可能であろう。宝石のかけらのような硬質で無機的な語と、孤独に朽ちていく肉体を思わせる崩壊感覚的な有機的な語とが散りばめられ、両者の遭遇・共存・衝突のうちに、意味とイメージが束の間〈かたち〉をとろうとする。詩を、句を読むとは、その瞬間に参与することにほかなるまい。――谷川渥(「澪つくし文」より)
ことばの奈落は怖ろしい。殺伐とした斬り合いのようなことばと肉声の〈私戦〉のあと、深い沈黙と闇がわたしを覆い尽くす。舞台の闇のなかで百句詠みあげれば、わたしは百度斬り殺された。詠み了ったとき、ことばはどこにもいない。神々は跡形もなく飛び立った。わたしの残身を置き去りにしたままで。――著者(「あとがきにかえて」より)
詩泯び神は建国の日を祝う
言葉病み血薄く細く神一重
あゝいつの夜も月にふる雪をおもへ
句集
2017/09/08発行
A5変形
並製 カバー付