作品詳細
近代日本文学・美術と植民地
ポストコロニアル研究のさらなる深化へ
植民地主義、帝国主義のもとでの文学、美術にさらなる切り口で迫る。
芥川龍之介、谷崎潤一郎、佐藤春夫らの近代日本文学は植民地とのかかわりの中で描かれた。
第四章「大正日本のアジア幻想」、第五章「江戸趣味と支那趣味」、第六章「「支那趣味」論」、第七章「脱「支那趣味」論」は今のこの時代に大いなる意義を持って論じられている。
小林多喜二の『蟹工船』はレーニンの植民地主義論や帝国主義論が理論的な支柱になっている。この第八章は圧巻である。
目次
第一部 近代日本文学
第一章 内田魯庵『くれの廿八日』とメキシコ殖民
第二章 漱石文学と植民地―大陸へ行く冒険者像
第三章 芥川龍之介「南京の基督」とフロベール
第四章 大正日本のアジア幻想
第五章 江戸趣味と支那趣味
第六章 「支那趣味」論―オリエンタリズムの視点から
第七章 脱「支那趣味」論―オリエンタリズムの視点から
第八章 小林多喜二『蟹工船』における植民地
―レーニン著『帝国主義論』との関連
第九章 志賀文学と植民地―辺境へ行く水商売の女たち
第十章 中島敦「李陵」「弟子」と南洋植民地
第十一章 中国における子供の発見
第二部 近代日本美術
第十二章 近代日本絵画のアジア表象
第十三章 近代日本工芸と植民地
第十四章 日本の帝国美術ネットワークと地方色論
第十五章 上海の三岸好太郎
第十六章 日本美術と満洲
第十七章 近代日本美術の中の朝鮮
論文集
2023/12/25発行
A5判
上製本 カバー