作品詳細
風のいざない
人間もまた、鳥のような旅人なのである
旅の詩を書きたかった。それは回想でもあり現在でもあり未来のことである。そこに流れる時の川を凝視めたかった。(あとがきより)
<詩僧>上野芳久が描く旅。
この旅は文字通り空間を巡る旅でもあり、また上野自身が己という存在について時間軸を縦横に探る旅でもある。
風よ詩人をいざなえ。この旅路が穏やかであらんことを。
あなたは旅人
雨風に耐え忍んで
この世に花の声を咲かそう
山また谷を見ながら
野に生まれる願望を生きよう
祈りが深ければ深いほど
野の花はきっと咲く
旅を続けることだ
たずさえたものの宿命を背負って
生まれいずる声の予兆を信じ
愛するものへ声を届けよう
蓮華は自然の法を教える
旅はあなたへの希望だから
夜風も吹き、谷の深みも知るだろう
あなたは旅人だから歩行が命だ
いつかふり向く時があれば
深い笑みでもって去りたいものだ
蓮華草が咲いている、自然に咲いている(「旅人」より)
詩集
2016/04/21発行
A5変形
並製 カバー付
栞文:寺田操
3,300円(税込)