作品詳細
ぎがんてすの日々
言葉で写す
言葉で小さな旅を写し取り、出会った人々をポートレートに仕上げ、
写真の詳細に迫って詩の世界を築く
詩人でモノクロームを能くする写真家が、流れて行った日々の片々を二十七の詩篇にまとめた
見えるもの
身近な物
親しい人々
それを在るがままに写そうとした
みんなすんなり撮らせてくれた
素朴なカメラは新たな微笑のきっかけになるから
少しタイミングがズレても写真はみんな笑っていた
人だけではない
物もすんなりと
もう百年もそこに在るかのように写っていた
見える物を写す
最も素晴らしい瞬間を写す
人がまだ見ていないものを逸早く写す
あらゆるものの
あらゆる姿を網羅するように撮り続ける
写真家の使命だろうし
本能に近いものだろう
見える物は任せよう
多くの誠実な写真家に
ぼくは見えていて見えないものを写す
ある日見えていて見えないものを写す
ある日見えていてある日見えないものを限りなく美しいと思うから
素朴なカメラと
知的な光に助けを借りて
すんなり写す――(「写真作法」)
詩集
2016/07/15発行
A5判
並製・小口折
表紙写真:土方幸男