作品詳細
下剤の彼方、爆発する幼稚園
15分30秒。これはわたしだ。
これでもかと詩の映像で読者を狂乱の世界に引きずり込む著者の最新作。
あの日、お坊ちゃんのそいつがとりついた。私がまだ若かったころ、ある集まりでふと出会ったそいつは、理由もなく優しかった。生きる力になってくれた。だが、いつかそいつは私の才能を食いつぶしていた。そいつの才能ときたら私にしてみればガラクタみたいなものだったのに。
死神は、いつもそいつにとりついているわけではない。その後は、そいつは全くのもぬけの殻のどこにでもいそうなおじいちゃんになっていた。
私はもう、そいつとは付き合っていない。鼻くそのように死神をくっつけられたので。
精神病患者のぼくに家族が持参した衣類からトンボに似た虫やゲジゲジが飛び出すような、人の死を悼んでいるのだが不潔なメール文章。
「面白半分の死
父はあの世からチンパンジーとして帰ってきた。
父の母は野良猫として。
死んだ妹は一匹の蚊に変身した。
母の母はニンジンになってしまった。
母の父は何とかという恐竜に逆もどりした。
父の父は今度はニワトリだった。」
「五歳の海水浴
水着を着た母は妙にエロティックで汚らしかった。」
怯える猫と上目遣いの犬の家。
人間の真っ赤な唇を持った犬。
凍えるような暑さ。
こちらを向いて笑っている一組の男女。加害者と被害者。
チャルメラを鳴らして、パトカーが行く。
(「生々しく死んでいった」)
詩集
2017/04/01発行
A5変型
並製