作品詳細
沿線植物
新しい旅へ
ひらいた本のページをよぎる鳥影の速さ
中空に消える血の速さ
晴天に翳した手は何もつかめないまま
日光に象られていく
(「午後の図書室」冒頭)
沿線に植物が芽吹き繁茂するように生まれたのがこれらの詩だ。気持ちを言葉で表わし、現実から少しでも離陸させようとすることで平常心を保ってきた。今も相変わらず不安や緊張のなかにいるけれど、辛苦を共にすることも、体の痛みも精神的な傷みも、生きているからこそ実感できる生命力だと思えるようになった。
(著者あとがきより)
詩集
2009/07発行