作品詳細
誰もいない
ただ 一本の声として
『誰もいない』・・・詩人は確かにいる。読者は詩人の佇まい、息遣い、何よりその声、独白する声を感じるだろう。誰の声でもない言葉が飛び交う時代にあって、これは間違いなく永澤康太の肉声である。
声は、
楽器では、
ありません。
叩いたり、
こすったり、
弾いたり、
ふるわせたり、
そんなこと、
しなくても、
声は楽器ではないのですから――
音になることもないのです。
声は――
耳で聴くのではありません、
目で見るものでもないのです。
声は――
もっともっと、
透明な何か。
得体の知れない、
何ものか。
もっともっと、
遠くにあって――
もっともっと、
近くにある、
移ろいやすい――
何ものか。
声は――
そうゆうもので、
あるのです。
声は、
楽器では、
ありません。(「声」)
詩集
2016/11/16発行
A5変形
並製 カバー付
1,320円(税込)