作品詳細
キャットウォーク
腰をふってあるくだなんて 品のないことしないのよ
夢の中でしか知らない町を散歩しているかのようだ。決して怖い夢ではないが、不思議な夢。世界中のどこでもないが、どこかに似ているような景色。ひとつ言えるのはこの散歩はリズミカルで非常に心地が良いということ。隅々まで歩き回るために何度もこのカラフルな町を訪れてみたくなる。
雨の空が散り/しぼんでよじれて/皺くちゃになった花の色水が/シャワーになっておりてきた/虹のベールは/女のからだを/あわいシルエットにたたみ/女が燃やしているのは/インクできざまれた記憶のようでもあり/花につつまれた執着のようでもあり/それは/なにかぼんやりとした/ふるくてかなしいもので/あたしはちっとも知らなかった/ちかづいてもちかづいても/とおざかってゆく/虹のエスカレーターがあることなんて
(「虹の目」より)
詩集
2014/06/15発行
四六版
並製 糸かがり
水彩画:riei