七月堂通信
2017年02月の記事
今年初の七月堂通信
皆さま如何お過ごしでしょうか。今年初の七月堂通信です。
気付けばもう2月!これを書いている本日は奇跡的な暖かさなのですが、誰しも寒いのはこりごりになってきていることでしょう。しかししかし、そんな冬にこそ読んで頂きたい新刊が完成しましたのでご紹介させていただきます。
H氏賞受賞詩人である峯澤典子さんの新詩集『あのとき冬の子どもたち』
冬の間に発売したい、という峯澤さんのご希望で2月頭に完成しました。カバーデザインは吉岡寿子さん。白地に文字だけの一見シンプルな装幀ですが、配置、色合いともに絶妙でとても美しい本に仕上がりました。
峯澤さん、今回の詩集は「白」にかなりこだわりました。何度もやり取りさせていただきながら決定した用紙です。同じ「白」でも色々ありまして、白に「色々」と使うのも不思議な感じなのですが、実際紙見本帖を眺めてみますと色合いの微妙な違い、手触り、本当に「色々」です。カバー・表紙・本文、同じ白ですが少しずつ違いますので、そんな部分も楽しんでいただけると嬉しいです。
肝心の詩集の内容に関しては、もう「読んで下さい、以上」と言いたいところです。が、とにかく印象の立ち上がり方というか、余韻というか・・・流石の一言です。
ふとしたきっかけで今まで思い出しもしなかった事を思い出してしまう一瞬が誰にもあると思うのですが、つい最近も牛丼屋のBGMでケミストリーが流れて意識が学生時代に飛んだのですが・・・さておき、その「ここにいて、ここにいない状態」と言いましょうか、作品の中だけでなく、著者が知ることのない読者の記憶まで立ち上がらせてしまう力がこの詩集にはあります。
読んだ方なら誰しもこの詩集に「旅」を見ると思います。「旅」の状態の不安定さ、不確かさ、ナイーヴさもこの作品の魅力のひとつでしょう。
白い紙から立ち上がる印象、『あのとき冬の子どもたち』というタイトルも独特の繊細なノスタルジーを感じさせてくれます。
詩集を読んだことが無い、という方にもオススメ出来る作品でもあります。
これから春にかけても楽しみな作品が控えております。
かなり遅ればせながら今年も七月堂をよろしくお願いいたします!
No.0055 2017年02月17日 O