七月堂通信

2015年04月の記事

お茶会@七月堂、開催決定

イベント開催のお知らせです。
七月堂事務所でのトークイベント「お茶会@七月堂」。1973年の創業から今まで数多くの作品を世に送り出してきた七月堂の知念さんに、七月堂の始まりや詩集制作について色々と話を聞いていきます。司会は七月堂のツイッターつぶやき担当のO。
開催日時は6/7日曜日の15:00~17:00までを予定しております。
入場料は無料です。お好きに飲食物を持ってきていただいて構いません。(七月堂でも準備します)

このイベントを企画した理由は、まあとにかく知念さんの語る過去のエピソードがどれも面白いからです。大体いつも夕方、仕事が落ち着いてきたころに話が始まることが多く、時には話が長引いて退社時間が遅れることもしばしばなのですが(笑)創業者である木村さんの破天荒な人柄や詩人達との交流、トラブルなど際限なく話が続きます。七月堂で働かせていただき9年ほど経ちましたが、まだまだ聞いていない物語があるようです。そんな物語を自分だけ聞いているのは贅沢というか、もっと聞きたい人がいるんじゃないかと思ったのがイベント企画の発端です。
加えて七月堂の詩集作りのエピソードなども聞いていきたいと思います。本作りは一冊に一つのエピソードどころか一冊に幾つものエピソードがありますので、それこそ話題は無限です。この詩集について聞きたい、などのリクエストもお気軽に。最近の作品であれば生々しい話が聞けますよ!

難しい話は抜きに普段の七月堂の空気感を感じていただけたら、と思います。
本作りについて関心がある方、本を作る予定がなくてもこの機会に何でも聞いてください。
過去の詩集や同人誌もたくさんありますのでそれらを冷やかしついででも結構です。

ぜひぜひ、お待ちしてます!

七月堂お茶会のお知らせ

お茶会@七月堂 チラシPDF お茶会@七月堂 チラシ (3.37MB)

No.0030 2015年04月23日 O

待望の詩集完成

 佐藤勇介さんの詩集『夕末文章』が完成しました。入稿してから一年弱、A5判という最もポピュラーな判型を使い、本という物体をどこまでアート作品に近づけられるか、という難題に挑んだ日々でした。佐藤さんの書いた「詩」がソフトだとすると、それを完璧に再現できるハードとしての本とでも言いましょうか。手に取った瞬間、もしくは本と出会った瞬間から始まる「詩集」という作品。他の文芸よりも詩集はその「物体としての本と作品である文字情報の関わり」が強いのではないかと思います。物体と情報の複合体としての作品、その全体像を考えてきてくださった佐藤さんの発想には脱帽します。このように完璧に作品の中に入っていける本は数少ないのではないでしょうか。
以下、この詩集の特徴を簡単に紹介します。

●本文
・空間を活かした文字の配置、間も詩の一部です。
・真っ白な紙に消え入りそうな灰色の文字、インクと一緒に読者の意識も作品の中に吸い込まれそうです。
・フォントはポピュラーな明朝体ですが、ごくごく僅かに縮小し印象を変えています。
・のど元ぎりぎりまでの印字。頁をまたいでも行が隣り合っているようにしたいという要望でした。
●製本
・なんといってもこの「簡易コプト製本」(※佐藤さんの造語)でしょう。古代の製本の様式に一番近いコプティツク製本をアレンジした他には無い作品です。是非作品紹介欄の写真をご覧下さい。
・糸かがりになったそもそものきっかけは前述の「頁またぎ」の為です。

アイディアを具体化する過程で休日に工場を開けてくださった印刷屋さん、製本屋さんには最大限の感謝です。こういっては何ですが相当厄介な注文だったと思います。それを悩みながらも完璧な仕事でこなしてくれた職人達の意地と心意気。もちろん読み物として楽しめることも太鼓判ですが、職人達の熱い戦いも記憶していただきたい、そんな一冊です。

No.0029 2015年04月01日 O